『腸科学』ジャスティン・ソネンバーグ

『腸科学』ジャスティン・ソネンバーグ
エリカ・ソネンバーグ 著

これをこのところ読んでいる。この二人は、スタンフォード大学のスクール・オブ・メディスン微生物学・免疫学部准教授と上級科学研究員だそうだ。

腸内環境をよくする、つまり腸内細菌の種類や数を増やし、細菌は一概に善玉悪玉と分けられない説もあるけれど……腸内で好気性発酵ができるように、一般に善玉と言われる菌を増やすために食すといいと言われる、生野菜や食物繊維を多く摂ること、乳製品をひかえる、小麦を控えるなど、腸内科学などの研究者の勧める方法を地味に生活に取り入れることで、私の周りではアレルギー疾患や過敏性大腸炎その他が軽快してる。

腸は第2の脳とも言われ、腸内の細菌の重さは1キロ〜1.5キロといわれ、便の7割だかは細菌の死骸だとか!!多発性硬化症のようなあらゆる難病が、腸内フローラの改善で軽快することが期待されてると聞く。この本にもそういったことが書かれている。

著者の視点は研究者であると同時に、母親であり、父親である点で、実際の生活に役立つ内容になっている。でも若干難しい。

 

___日本人の中には、欧米人のマイクロバイオーたにはない、海藻を食べる最近を持つ人々がいる。日本人は海藻をよく食べるので、彼らのマイクロバイオータはこの豊かな食糧源を利用するように進化した。どうか欧米人のマイクロバイオータの特徴が、ホットドッグを消化できる能力などということになりませんように。

 

第一章にはそんな笑いを誘う言葉が含まれる。難しい専門用語が並び続けるわけで、わたしはけっきょくのところ、こんな冗談ばかり拾って読んでいるような気がする。

 

___細菌が腸内で発酵し、産生する化合物が、私たちに利益をもたらしているという。これらの化合物は、未だに人の生存にとって大切な仕事をしてくれている。免疫系を調節し、病原菌を寄せ付けず、代謝を統括している。___細菌は「わたしのために食べ物を食べてくれたら、それをあなたが必要とする分子に分解してあげます」


腸内細菌は
そういって、私たちの腸内で共生関係を結んでいるらしい。体内の免疫細胞のなんと7割が腸内に存在しているそうだ。様々な免疫疾患を治すには、あるいは免疫疾患を起こさないためには、腸内細菌の種類と数を増やすに限る、といったことがいかに大切か、切々と書かれてる。大まかにいって、善玉と悪玉がいるので、善玉菌を増やしたい。そのためには、善玉菌が好む餌を自身が食するといい。

ヨーグルトを食べて、ビフィズス菌を増やそうといっても、そう話は簡単ではない。ビフィズス菌を腸内に入れて、さて住み着いてもらうには、ビフィズス菌も食事をして自身を増やして行く必要がある。だからビフィズス菌が好む食事を食べる必要がある。

 

この研究者のご夫妻は、自分の子供たちに、パスタやピザやラザニアなどの炭水化物を食べさせて終えるのではなく、トマトやレタスなどの野菜を食べさせる食事に切り替えた時、もちろん子供達の抵抗にあったそうだ。しかし、トマトやキュウリは、自分のためじゃなくて、たくさんのお腹が空いたマイクロバイオータのために食べてあげなきゃいけないんだと話すと、子供達は納得して協力的な態度で食べるようになるといったことが書かれていて、先生方のその子供達やマイクロバイオータへの真摯な態度にちょっと感じ入った。

 

近年、マイクロバイオータと肥満の関係に関係因子があると発表され、一般によく知られるようになった。この相関関係を証明したのは、このソネンバーグ夫妻の指導教官である、ジェフリー・ゴードン博士(胃腸学者)だそうだ。

どんなふうに実験するかというと、あらかじめノトバイオティックマウスというマウスを作っておき、いろいろなパターンで観察するそうだ。無菌マウス(帝王切開をし、消毒液にじゃぼんと漬ける)、正常なマイクロバイオートアを持つマウス(普通のマウス)、ヒトのマイクロバイオータを持つマウス(ヒト化マウス)などに分けて観察。

そうして肥満したマウスと細身のマウスは、それぞれ異なる細菌群を持つことがわかった。ただ、これだけでは因果関係がはっきりわからない。卵が先か、鶏が先かと。そこで、ゴードン博士のチームは、肥満したマウスのマイクロバイオータを、マイクロバイオータを持たない痩せたマウスに移植したところ、痩せたマウスは体重が増え始めたそうだ。

この後、さらに細菌研究が進み。クローン病、代謝異常、大腸がん、自閉症などの問題に悩むヒトの腸内菌共生バランス失調が見られるとわかってきたそうだ。

いずれ、マイクロバイオータの研究がさらに進めば、心血管から、精神の健康まで微生物がヒトの健康のあらゆる側面に関係していることが解明されるだろう__と書かれている。 

 

少しショックな話


 


____帝王切開で生まれた子のマイクロバイオータには、プロテオバクテリア(proteobacreria)門(極めて多くの病原性細菌がこの門に属する)の細菌が多く、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属(乳酸菌の一種いわゆるビフィズス菌)が少ない。___

最近では、帝王切開で生まれた人が肥満からアレルギー、セリアック病、虫歯にかかりやすいという研究結果が多く、経腟分娩で得られる細菌を体内に取り込めなかった人々には残念な話だ。___出産方がマイクロバイオータの形成に果たす役割が判明しているのだから、赤ちゃんと細菌のはじめての出会いが、その子にとって最善になるような医療体制を考慮すべき。

とある。また、ロバート・ナイトというカリフォリニア大学サンディエゴ校の教授は、どの種の細菌がどこを棲み処にするかを調べる専門家)帝王切開で授かったお子さんに、奥様の膣から綿棒で細菌を摂取し、お子さんの体の複数箇所に細菌を移植したそうだ!!

この方法は、この先生がいうように、ほんとうに今後スタンダードになるかもしれない。そうなるといいなと思う。自閉症スペクトラムの子どもたちで(大人も)、皮膚疾患や腸の不全に悩む人はとても多いから。


母乳


母乳には、種々の目的を持つ抗体その他の免疫系分子がふくまれている。乳児の免疫系が発達するまでその子に受動免疫を与える。母乳には、ヒトミルクオリゴ糖という複合炭水化物が含まれ、それの化学構造は極めて複雑で、あまりに複雑であるためにヒトには消化できない。

赤ちゃんではなく、マイクロバイオータのためにこの食事を用意しているというのだ。2500万個の遺伝子をもつマイクロバイオータは、ヒトミルクオリゴ糖を消化してエネルギーを抽出する。このヒトミルクオリゴ糖の恩恵をもっとも受けるのが、ビフィドバクテリウム属菌。

また、このヒトミルクオリゴ糖は、植物組織を食べて生きるという驚嘆すべき能力を持つバクてろいです属菌の定着にもかかわるという。バクテロイデス属菌に優先的に定着をうながすことで、ヒトミルクオリゴ糖は乳児が固形物を食べるための準備を始めている!!という。

発酵は、微生物が糖を酸、アルコール、炭酸ガスに分解する過程である。腸を腐敗から守っている、母乳の成分。

※ノトバイオティック=「体内の細菌群が同定されている生物」

そうして、出産とこどもがどのようにマイクロバイオータや免疫を獲得していくかが詳細に記述され、最後には「ではどうしたらいい?」という問いに応える章があり、マイクロバイオータを増やすためのレシピまで紹介されている。

学術的な内容に終始するのではなく、実際に生活する我々が、生活の中で生活を改善し、別の暮らしへシフトするための実践方法が散りばめられている、とても楽しい作りの本。

これからお子さんが生まれる妊婦さんはもちろん、あらゆる人におすすめの本。ご一読を!

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